「あっ、飴ー?俺にもちょーだい!」
「いいよ、じゃあ…水谷はイチゴね!」
「え、他に何があんの?」
「色々。」
「ふーん。まぁ、イチゴ好きだから良いけど。」
「なんか水谷はイチゴっぽいから。」
「えー、うそだぁ。俺がイチゴっぽいってどういうこと?」
「なんか可愛らしいじゃん?女の子みたい。」
「そんなことないって!じゃあ花井は?」
「えぇー、花井くん?花井くんは…オレンジかなぁ。」
「あ、なんとなくわかる!」
「でしょ?でね、阿部くんは…そうだなぁ…黒飴?」
「黒飴!!あはは、わかる!超わかる!!」
「でも、そんなこと言ったら阿部くんに怒られそう。」
「確かに〜、でも阿部は黒飴っぽい!」
「あはは、でも私はイチゴが一番好きだよ。」
「えっ?…それって、え?」
「ん?イチゴ、好きだよ。」
「あ、うん…そう…?」
「うん。」
「(今の流れで言われるとさぁ!!ちょっと勘違いしたくなるっていうか!)」


FALL in LOVE
水谷文貴





「梓、ここわかんない。」
「ん、どこ?」
「これ。…もう英語嫌い…、梓はすごいね。英語得意だなんて。」
「すごかねーよ。…お前、ここさっきも教えたとこじゃねーか。」
「…だって…わかんないんだもん…。」
「はぁ…お前俺の話ちゃんと聞いてたかー?」
「聞いてた!聞いててもわからないんだもん…。」
「はいはい。じゃあ最初からな?」

「…終わった!」
「よし、じゃあ答え合わせな。」
「うん。」
「…これは合ってる、これも…。」
「ねえ、梓。」
「んー?」
「全問正解したらさ、ご褒美くれる?」
「じゃあ今度パフェ奢ってやる。」
「…そんなのやだ。」
「はぁ?じゃあ何が良いんだよ?」
「…んー、じゃあキスして?」
「っ、はあああ!?」
「だめ?」
「…っ、ぜっ全問正解したらだからな!?」
「やった!ありがとう、梓!」
「(どうせどっか一問くらい間違ってるに決まってンだから…っ!)」


日常の中

(…全問正解ってどういうことだよ…!!)
そのあと彼女は、いたずらに笑ってゆっくりと目を瞑った。
花井梓





「あ、あのっ」
「あ、三橋くん。どうしたの?」
「え、っと、あの、今日、の!お、俺っお弁当、」
「あ、お昼?一緒に食べる?」
「う、うんっ!」
「じゃあ、どうしよっか。どこで食べる?」
「え、えと、俺、今日天気良いからっ」
「いいよ、中庭にしようか。」
「うんっ!」
「三橋くん、おかずって何が好き?」
「おっ、俺っ!エビ、と卵!」
「エビフライと玉子焼きかぁ、美味しいよね。私も好きだなぁ。」
「(…三橋と会話出来てる…!)」
「(あれって才能だよなぁ、いつも一緒にいるわけじゃないのに。)」
「((、すげー))」

「おっ俺、さん、好きだ!」
「うん、私も三橋くん好きだよ。」
「((あんな普通に好きとか口に出来るのすげぇ…!))」


so sweet!!
三橋廉





「ねぇねぇ浜田。」
「ん、なに?」
「浜田ってさ、どうして応援団やろうと思ったの?」
「唐突だな…、なんつーか頑張る高校球児を応援したくなったんだよ、お兄さんとして。」
「良いお兄ちゃんだね。同学年なのに。」
「うっわ、そういうこと言うか…。」
「あはは、ごめん。冗談冗談。」
「冗談きついぞ?」
「ごめんって。でも、」
「ん?」
「私ねぇ、浜田の団長姿、結構好きなんだよね。」
「え、なにそれいきなり。」
「あはは照れた?」
「おう、照れた照れた。」
「なんか似合ってるっていうかさ。格好いいと思って。」
「…なんかさ、褒めすぎじゃね?何も奢んないぞ?」
「そういうつもりじゃないんだけど。」
「…お、おう。そっか?」
「うん、浜田は背も高いから、格好いいよ。頑張れ、団長。」
「…あの、さ!」
「うん、なに?」
「なんていうか、いきなりなんだけど」
「うん。」
「俺、お前のこと――」

ー、先生呼んでっぞー。」
「はーい、今行くー!」
「っ…!!」
「で、ごめん。何?」
「…なんでもないです…。」
「(タイミング悪すぎ…っ!)」

転がる
浜田良郎





「巣山くんってさ、コーヒーはブラックで飲む?」
「え、まぁブラックは好きだけど…。」
「ブラック飲める人ってカッコいいよね。」
「そうか?」
「うん、大人!って感じしない?」
「はは、どうだか。でもありがとな。」
「巣山くんって大人っぽいもん。よく言われるでしょ?」
「言われないことはないな。」
「やっぱり!巣山くんみたいな旦那さんが欲しいな。」
「そうか?」
「うん、なんか大黒柱!って感じで安心できそう。」
「ははっ、大黒柱とか責任感じるなー。」
「あと子供と公園とか行って一緒に遊んでくれそう。」
「俺ってそんなイメージ?」
「うん、良いお父さんになりそう。」
「じゃあは良いお母さんになりそう。」
「え、なんで。」
「なんとなく。」
「理由がないんじゃ意味ないよー。」
「俺がみたいな嫁さん欲しいから、っていう意味で。」
「…え?」
「うん?」
「…あ、うん…?」
って鈍い?」
「え…なに、どういう意味…。」
「そのまんま。」
「鈍くない、です…けど…、今のって。」
「やっぱ鈍いな。」

それは、まるで。
巣山尚治





「寒いね、さんは寒いの得意?」
「ううん、苦手。」
「はは、だよね。今もすごい縮こまってるもん。」
「だめなんだよねー、寒いと体中が強張っちゃって。」
「肩凝るでしょ?」
「うん、もうがちがち。」
「じゃあ暑い方が好き?」
「うん、どっちかっていうと。」
「俺も、まだ暑い方がいいかな。へたばるけど。」
「あはは、確かに。」

「…さんって、冷え症?」
「うん、今も手とかかちんかちんだよ。」
「どれくらい?」
「えっ?」
そう言って、彼は私の手を取った。
「うわ、つめたー。大丈夫?なんかあったかいもの買おっか。」
「へ…あ…はい…、お願いします…。」
「あはは、さんのほっぺ真っ赤。」
「だ、って…さ、寒いからです!」
「そっか。はい、あったかいの。ココアでいい?」
「…栄口くんって、案外性格悪いでしょ?」
「さぁ、どうだろ。普通じゃない?」
「普通じゃないです。」

確信犯
栄口勇人